先週の木星と土星の大接近(だいせっきん)、見ましたか?ふたつの惑星(わくせい)が望遠鏡(ぼうえんきょう)の視野(しや)に並んで見えるほどに夜空で近づきました!これほど近づいたのはおよそ400年ぶりとのこと。次は60年後です。

でもちょっとまって!これを聞いて、宇宙っ子は何かを疑問(ぎもん)に思いませんでしたか?

僕は子供のころ、似た疑問を持ったことがあります。日食や月食の仕組みを聞いたとき、どうして新月のたびに日食が起きないのか不思議に思いました。実は、このふたつの疑問は、同じ理由から生まれています。

まずは、どんな疑問か、説明しましょう。下の図をみてください。

これは木星と土星が大接近した2020年12月21日の、各惑星の位置(いち)です。

内側(うちがわ)を回る木星が、外側(そとがわ)をゆっくり回る土星を追いぬくときに、地球、木星、土星がほぼ一直線(いっちょくせん)に並びました。だから夜空で非常に近くに見えたのですね。

「時計算」なんていう算数を小学校の時にならったのを覚えています、今でも習うのでしょうか。木星は12年に一度、土星は30年に一度、太陽のまわりを回ります。では、木星が土星を追いぬくのは何年に一度でしょう?

答えは、20年に一度です。だから20年ごとに、木星と土星は夜空で近づいたりはなれたりするのです。

でも、上の図をじーっと見ると、木星が土星を20年ごとに追いぬくときに、土星とぴったり重なって、かくしてしまいそうに思いませんか?

どうして木星と土星は近づくだけで、ぴったり重ならないのでしょう?しかも、どうして追いぬきは20年ごとなのに、今回は「400年ぶりの近さ」なのでしょう?どうして追い抜くときの夜空での距離が、あるときは近く、あるときは遠いのでしょう?

どうして新月のたびに日食は起きないの?

僕は同じような疑問を、日食や月食が起きる仕組みを習った時に感じました。

日食が起きるのは、下の図のように、地球、月、太陽が一直線に並ぶため、月が太陽と重なって、かくしてしまうからですね。

月は地球のまわりをぐるぐると回っていて、新月のときに太陽と同じ方向に来ます。だから、日食はかならず新月のときに起きます。

でもまって!と僕は思いました。

どうして、新月のたびに日食は起きないのでしょうか?毎月、新月は起きるのに、どうしてあるときは日食が起き、あるときは日食は起きないのでしょうか?

2次元ではなく、3次元で考える

上のふたつの疑問を解決するには、2次元ではなく、3次元で考える必要があります。

8つの惑星がどういうふうに太陽のまわりを回っているかを説明するとき、こんな模式図(もしきず)がよく使われますね。

(Image excerpted from Michael Albert Paul Quinton, “Sonifying the solar system for a Planetarium,” 2015)

あたかも、2次元の紙の上に8つの同心円があるようです。

本当は、少し違(ちが)います。

8つの円が、それぞれ違う向きに、少しだけ傾(かたむ)いているのです。

どういうことでしょう?以下の図は、この傾きを大げさにかたものです。

地球が太陽の回る軌道(きどう)はグレーのディスクの上にあります。このグレーの面を「黄道面(こうどうめん)」と呼びます。星占いで使う黄道12星座は、この面の上にある星座です。

黄色が、木星が太陽を回る軌道です。

 

 

このように、木星の軌道は、地球の軌道に対して、傾いています。木星だけではなく、すべての惑星の軌道は傾いています。傾いている角度(軌道傾斜角(きどうけいしゃかく)といいます)も、傾いている方向もばらばらです。

実際(じっさい)の傾きは、この図のように大きくはありません。木星の黄道面に対する軌道傾斜角は1.3度。土星は2.5度。とても小さい角度ですね。だから、理科の時間に惑星の動きを理解するには、さきほどお見せした2次元の図で十分なのです。

でも、この傾きがあるせいで、木星が土星を追い越すときもぴったりと重なっては見えないのです。

どうして今年がおよそ400年ぶりの近さだったかも、上の図で説明できます。

20年に一度、木星は土星を追い抜きますが、どこで追い抜くかは毎回変わります。木星の軌道面と土星の軌道面がちょうど交わるあたり(上の図で”Ascending node”と赤い文字で書かれている場所)で追い抜くと、二つの惑星はとても近づいて見えるのです。

逆に、交わる場所から90度離れたあたりで追い抜くと、あまり近づきません。(実際は地球の位置も関係するのでもう少し複雑なのですが。)

なぜ、次の大接近が60年後かもこれで説明できます。木星は12年に一度、土星は30年に一度、太陽のまわりを回っていると書きましたね。12と30の最小公倍数は60です。つまり60年後は、だいたい今回と同じ位置で木星が土星を追い抜くからなのです。

どうして毎月、日食が起きないの?

もう、理由はわかりましたよね。

月が地球を回る軌道も、地球が太陽を回る軌道に対して、すこしだけ傾いているのです。傾きはおよそ5度です。

ちょうどふたつの軌道面が交わる場所で新月になれば日食が起き、満月になれば月食が起きるのです。それ以外の場所で新月や満月になっても、日食や月食は起きません。

ちなみに月と地球の軌道面が交わる場所は、太陽の重力のせいで時間とともに移り変ります。それが、昔の天文家にとって日食や月食を正確に予想することが難しかった理由です。

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